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| 愛しい人の声なら、何処にいたって聞こえるもの、なんて よく言ったもんだよね。 「な〜みをチャプチャプチャプチャプかき分けて〜♪」 野球部だけのものじゃないグラウンドには他の部活動も行われてて 決して静かなワケじゃないのに、僕の耳はあのヒトの声 ―ソレは結構間抜けな歌声だったけど―をきっちりとキャッチした。 |
何か良いコト、あったのかな? |
| 青空ダッシュ |
3、2、1…Go! 「あ〜んちゃんッv」 「うをッ!?」 加速をつけて、僕は兄ちゃんの腰へ抱きつく、もとい、ダイブ。 突然の衝撃に、兄ちゃんは驚いた声を上げる。 きっともう当たり前になった光景。 「お〜ま〜え〜なぁ〜…何でそー突進かましてくんだ、ボケッ!」 「いいじゃーんv僕だけの特権だしぃ♪」 「はぁ?」 「うん、気にしないでv」 怪訝そうな顔をした兄ちゃんに僕はそう言って笑った。 そう。僕だけができるんだ。 子供っぽい僕に兄ちゃんが甘いのはもうわかってることだし。 「そんなことより、兄ちゃん、歌なんか口ずさんじゃって。 何か良いことあったの?」 「そうなんだ!聞いてくれよ!」 聞いた途端に兄ちゃんの表情がコロリと変わる。 なんか感心するほどの切り替えって言うか子供みたいって言うか。 可愛いから良いんだけど。 「さっきさ、いっちー先輩が打ち込みの練習に付き合ってくれたんだ!」 いっちー?いっちー…いちの、みや? 「いっちー先輩って一宮先輩のこと?」 「おう!姿勢とかもこーした方が良いとか打ちやすいとか あーした方が肩や肘に負担がかからないとか教えてくれてよ。」 「へー。」 嬉々と話す兄ちゃんの言葉を聞きながら 僕は離れた木の下で別の先輩たちと休憩している いっちー先輩こと一宮先輩にちらり、目をやった。 あの人が、ねぇ…。 レギュラーを巡っての先輩後輩対決の時に比べて、先輩の顔は最近穏やかだ。 「俺、いっちー先輩に嫌われてるんかと思ってたからサ、マジ嬉しい!」 頬を少し赤らめて、兄ちゃんは笑顔を零した。 一宮先輩が練習に付き合ってくれたことを 本当に喜んでる、って感じがありありと伝わってくる。 かなり悔しいことだけど…仕方ない。 だって兄ちゃんは、臆病、なのだから。 「嫌ってなんかいないよ! 僕もみんなも兄ちゃんのコト、だーい好きなんだからv」 「あぁんv嬉しいィー! 明美、兎丸君のコト、愛しすぎちゃって思わずKILLなの〜vvv」 「に゛ゃぎゃ〜!」 冗談めかして告白したけど、鈍い兄ちゃんにはやっぱり冗談にしか聞こえない。 明美お姉ちゃんになった兄ちゃんに、僕は首を極められた。 何やってるんだアイツ等は、と苦笑を漏らす部活のメンバー。 (若干射殺そうと企むような鋭い視線が含まれているけど気にすることもない。) コレももう、日常の光景だ。 「うぇ…で、機嫌の大変よろしい兄ちゃんはひょうたん島を歌っていた、と。」 「そういうコト♪」 解放され、首をさすりながら話の軌道を戻す。 「兄ちゃん、モー娘。好きだったんだ?」 「あ?あんで?」 「だって華武との練習試合で司馬君のリズム打法パクった時も ひょうたん島だったでしょ?」 「あーそう言えば…まぁ、モー娘。は好きだぜ?可愛いし。」 「あやや命のくせに。」 「いや、凪さん命v」 「あははvそうだったv」 …複雑。 「でもひょうたん島はモー娘。が歌う前から好きだったな。」 「そうなの?」 「おう。歌詞がさ、好きだったんだよ。」 そう言って兄ちゃんは至極楽しそうに、一部をなぞった。 「特にココ! 『苦しいことぉもあるだろサ。悲しいぃこともあるだろサ。 だけど僕等は挫けないぃ〜。泣くのはイヤだ、笑っちゃお!すっすめ〜!』♪」 それは決して上手、ってワケではなかったけれど。 それでも楽しそうに、嬉しそうに…。 「俺達の応援歌っぽくね?」 眩しい笑顔が、僕の胸に突き刺さった気がした。 胸の奥で冷たくて熱い何かが沸きたつ。 兄ちゃんを呼んでるキャプテンの声が、その距離以上に遠くで聞こえた。 「あ、キャプテンが呼んでら。ちょっくら行ってくるわ。」 笑顔を僕に突き刺したまま、兄ちゃんは呼ばれた方へ走って行く。 僕は兄ちゃんの後ろ姿をただ呆然と眺め、その場に立ち尽くした。 いや、そうじゃない。 込み上げる黒い物が僕の中で渦巻いていて、それをどうにか堪えていたんだ。 「…?」 「!」 くいっ、と僕の袖を誰かが引っ張る。 司馬君だ。子津君と一緒なんて珍しい組み合わせだ。 どうしたの?と 無口な彼は首を傾げる仕草でそう問いかけてくる。 次の瞬間に、堪えていたソレが弾け飛んだのを確かに感じた。 「…にさ…」 「?」 「何さ何さ何さッ!!!」 ソレは叫びにはならなかったけど。 ただ代わりに涙になって。 「兎丸、君?」 突然のことに子津君は驚いた様子で僕の名を呼んだけど、 僕は気にすることなどできなかった。 ああ、青い空が、キモチワルイ。 「何さッ…」 嗚咽が混じりそうになって下を向く。 零れた滴がグラウンドに染み込んで、そこだけこっそり、色濃くなった。 「兎丸君…」 「…」 顔をほんの少し上げたけど、心配そうに僕を見つめる子津君と司馬君を 見上げることまではできなかった。 「…なんでッ…兄ちゃん、が、苦しいクセに…!」 一人だけ素人で、人一倍焦ってるくせに。 「泣きたいくせに…」 なんで… 「なんで、僕は…」 ああ、僕は 「…わかっていたつもりで、いたんだろうね。」 なんて僕は愚かなんだろう。 なんて僕は心まで子供だったんだろう。 優しくて強い兄ちゃん。 弱くて泣き虫な兄ちゃん。 僕はそう、わかっていたじゃないか。 でも、結局わかっていた『つもり』に、過ぎなかったんだ。 「兄ちゃんもさ、本当、馬鹿が付くぐらい人良すぎだよねェ。 『自分の応援歌』じゃなくて『僕等の応援歌』、だって。」 「応援歌ッスか?」 「ひょっこりひょうたん島が。」 ごめんね。自己完結しちゃったみたいで。 こんな僕を責めずに子津君も司馬君も、僕の呟きに耳を傾けてくれた。 「ホント兄ちゃん、無意識に人良すぎ。 自分のことだけ心配してればいいのにサ。」 誰だってそんなもんでしょう? 誰もソレを責めたりしない。 気にもしない。 「猿野君は優しい人ッスから。」 「うん。知ってる。」 そんなコトは知っていた。 ただ、僕が思っていた以上だったんだよ。 僕が馬鹿だっただけ。 「でも不器用で、だから何かと傷つきやすいッス。」 「…そだね。」 子津君も、兄ちゃんをいつも見ている一人だったね。 「だから、僕等が猿野君の笑顔を守ってあげましょう?」 「…え?」 ああ、そうか。 「…そう、だよね。」 「そうッス。」 ポン、と司馬君は小さくニコリ微笑んで僕の頭を撫でた。 何も言わないけど、彼の優しさはこれだけで伝わってくる。 司馬君は優しい。子津君も優しい。 みんなみんな、優しいね。 そして、誰よりも何よりも優しい兄ちゃんに みんな一番優しくなれるんだね。 「僕も、兄ちゃんを守れるように、なりたいな…」 兄ちゃんに甘えられる今も凄く好きだけど 男として、好きな人を守れるようになりたいよ。 なのに 「………比乃は、そのままで、いいんだよ。」 ポツリ、僕が零した小さな一言に 司馬君がそれよりももっと小さな声で返してきた。 「…なんでさ。」 「なんでって…」 ちょっぴりムッとなってもオカシイことじゃないと思う。 折角立ち直り且つ決心したっていうのに。 ほとんど赤みの引いた (と言っても元々赤目の僕だから大して変わりはないのだけれど) 目で見上げれば、司馬君はちょっと狼狽えた感じで 僕から視線を少し逸らし、小さな声で続けた。 「…だ、だって、その、比乃が猿野に抱きついたり、甘えたり… そうするの、俺達は、その正直、ヤ、だけど…猿野は、楽しんでるんだ…」 途切れ途切れに司馬君は言葉を探す。 徐々に徐々に赤面する、なんていう器用なコトをしながら。 「きっと、比乃、にしか作れない笑顔、だと思うんだけど…」 胸の前で合わせた両手をモジモジと動かす様は、ハッキリ言って高一の、 それも180近い男子の姿じゃないと、失礼ながら思う。 だけど酷く恥ずかしがり屋な彼が こうでもしないと逃げ出してしまいたくなる衝動に駆られることを 僕は短い付き合いでもわかっていた。 語尾が小さくなるにつれ、真っ赤な顔を下に向けた司馬君。 彼の必死さはこれでもかッ、ってくらい伝わって 同時に、そうまでしても僕に話して聞かせてくれる彼の優しさに 「…そっか。」 「うん…」 鼻の奥がまた、ツンとなった。 空を、見上げる。 真っ青な空に目を細めて、大きく息を吸った。 涙はもう、無い。 声も元の通りだ。 「子津君!司馬君!」 一度伏せた顔をバッと上げて 「僕、お猿の兄ちゃんのコト、大好きだから!」 笑顔で告げよう。 「僕も、好きッス。猿野君のこと。」 司馬君程ではないけど、照れ屋な彼がニコリ微笑んでサラリと返し 「…お、俺も…猿野のこと、スキ、です…」 真っ赤な顔をそれでも上げて、小さいけどハッキリと返す彼。 「負けないからネっ!!」 「こちらこそ。」 「…うん。」 青空が、高くなった。 「よぉーぉっし!それじゃァ…」 腕をグルグル回して体をほぐし。 丁度話が一段落したようなアナタを標準にロックオン。 秒読み開始。 3、2、1…Go! 「あーんちゃーァんッv」 「ん?あ、…ぬぐァッ!!」 |
眩しく痛イ、真っ青な空のもと ダッシュでアナタに 変わらぬアイをお届けしますッ |
「えっと、初めに…遅くなってすみませんでしたッ(大汗)
ご、ごめんなさい、ごめんなさいィ…(土下座)
10000を踏まれたこうか様に捧げます。
なんてゆーか、遅くなった上にリク内容踏み倒し、ですね…
どこら辺が「総受」なのか、書いた本人が一番わかりません。
スミマセンスミマセンスミマセン(以下エンドレス)
お猿が愛されちゃってるのよ、を書きたかったのに…己の文才の無さが恨めしい…
猿と兎と馬と子しかでてないYO。(そして無意味にいっちー)
普通なら出てくる犬あたりが出てこないって、俺…兎さんが白いしサ(汗)
こんなモノですが、宜しかったらお受け取り下さいませ。(あわわわ…)
10000HIT、ありがとうございました〜vvv」
(カッコ内は、撫河アユ様のコメントv)
総受けで、こんなにほのぼのというか・・あぁ。良い話だな・・・・v
と、思った小説は初めてでした・・。
皆、猿の事が凄く凄く好きで・・
本当だったらライバルだから、蹴落とし合っても可笑しくない状況なのに・・
猿の笑顔を第一に考えて、蹴落とし合うんじゃなくて、
寧ろ皆で手を取り合って猿の事を考えてあげてる・・・・・・vv
「自分が一番」・・じゃなくて、「猿の笑顔が一番」という考えが・・・・
・・・・っち、畜生。テメエ等どこまで猿の事が好きなんだよ!!
み、皆・・カッコ良すぎなんじゃ〜v!(メロリ。)
と、本気で叫びたくなる程でしたv(変質者です。)
やばい・・こうかは猿命のはずなのに、
撫河アユ様の素敵小説では、毎回危うく攻様達にはまります・・・vvv
場違い間違い勘違い様で10,000HITを踏み荒らして強奪vvvv